少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語
一肇(ニノマエハジメ)さんの「少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語」です。
主人公は、高校時代の友人「才条三紀彦」が死んだ理由を探る為に、二浪して東京の大学へと、熊本から上京してきて家賃2万円、共同便所、共同風呂の下宿「友楼館」に住む大学一年生の十倉和成。
ある日、愛用のマフラー「温子」とハサミ「武蔵」、そして届いたばかりの「どん兵衛」がなくなり「返せ」と大声を出したところ、屋根裏から女子高生の黒坂さちが出てきたところから物語が始まります。
そして、さちとの奇妙な共同生活のようなものが始まり、さちの食事の用意をしたり、生活費の為にバイトしだしたりして日々を過ごして行きます。
そんな中、才条三紀彦が死んだ理由がわかるのではないかと、死ぬ直前まで撮っていた本作のタイトルにもなっている「少女キネマ」という未完の映画をキネマ研究部で観ます。
そして、キネマ研究部の「伊祖島氏」に「この映画を完成させてみませんか」と言われますが、主人公はそこで逃げ出してしまいます。
果たして、主人公は「少女キネマ」を完成させるために撮影するのか?
そして、「才条三紀彦」が死んだ理由、映画に込めた想いとは?
またさちとの関係はどうなっていくのか?
現代の話なんですけど、主人公たちのセリフ回しや文体がものすごく昭和っぽい雰囲気が出てていい感じになってます。
最初、読み始めた時は昭和の頃の話かと思ったほどでした(笑)
著者さんの作品はこの本が初めてなんですが、帯の推薦文を見て面白そうと思い手に取ったんですが、本当に面白くて一気に読んでしまいました。 また、ファンタジー要素もあって楽しめました。
うちの屋根裏にもこんな子住んでたりしないかな(笑)
単行本