通り雨は<世界>をまたいで旅をする
沢村凛さんの「通り雨は<世界>をまたいで旅をする」です。
以前書いた記事、「ぼくは<眠りの町>から旅に出た」と同時刊行された本です。
SFということなのですが…
物語は<わたし>が世界を隔てる扉を開け<カオア界>入るところからはじまります。
<わたし>の今回の目的地、”花園家”の納屋の二階からハランは空を見上げ、「くるな。雨、くるな」とつぶやいています。
というのも、学校の帰りに寄ったパン屋で「雨がくると、覚悟しなければならない。家族がひとり、へることを」とおばさんが言っているのを聞いたからです。
そしてハランは雨が<死神>をつれてくると思い、納屋の二階から雨が来ないようにと
つぶやいたのです。
そんな中、通り雨に降られながら<わたし>は”仕事”をするために花園家へと到着します。
雨と一緒にきた<わたし>を見たハランは家族の誰かが死ぬのではと思い「あの人を家に入れないで」と言いますが…
そして、<わたし>は花園家の仕事を手伝いながら花園家の人々とともに過ごし…
といった様子を花園家の人々、そして<わたし>の視点で語られていきます。
<わたし>の仕事とはいったい?
果たして、<わたし>は死神なのか?
花園家の人々、そして<わたし>の7つの視点で語られているので、ちょっとどの登場人物にも感情移入がしにくくて入り込みにくいかなと…
そして、ずっと牧歌的な暮らしが描かれててどこがSFなんやろ?と思ってたら…
そういうことかと(笑)
<わたし>が世界を旅をするのはわかるけど、タイトルの通り”雨”ってなんなんやろと疑問に思いながら読んでたんですがそういうことだったんですね。
”雨”と”アメ”でした(笑)