いとみち

映画にもなった「陽だまりの彼女」の著者さんである越谷オサムさんの「いとみち」です。

主人公は青森の高校生の相馬いと、人見知りを直そうとメイド喫茶でアルバイトを始めたのですが…
地元の人ですら聞き返してしまうほどの津軽弁の彼女はメイド喫茶での挨拶の
「おかえりなさいませ、ご主人様」がどうしてもうまく言えずに
「お、おがえりなさませ、ごスずん様」になってしまったり、何もないところで転んだりとドジばかりなのですが、先輩メイド達に鍛えられて成長していくのですが…
店にも先輩メイド達にも慣れた頃、店に閉店の危機が訪れといった物語です。

カバーがメイド服姿で三味線を持っているイラストで単行本と文庫版でイラストが違ってたりします。
タイトルの「いとみち」というのは日常的に三味線を弾いていると左手の人差し指の爪先にできる小さな溝のことだそうです。
いとのおばあちゃんが津軽三味線の名人で「ヴァン・ヘイレン」の曲を三味線で弾いたりするほどの腕前です。
主人公のいとも三味線を弾いていて賞をもらったりするほどの腕前なのですが、大会での自分の演奏する姿を見て弾かなくなります。
その演奏する姿というのが、足を大きく開いて目をきつく閉じて歯を食いしばってるという思春期真っ盛りの女子中学生にとっては…

また、いとのきつい津軽訛りも文学部の教授であるいとの父親が完訳を挫折してしまうほどの純粋な津軽弁を話す祖母の影響で祖母の言葉の表記が全て「△○∴γ…」といった表記になっています。
巻末には記号の五十音表なんかもあったりしておもしろいです。

主人公いとの成長する姿とそして閉店の危機を乗り越えられるのか?
そして、いとは「おかえりなさいませ、ご主人様」が言えるようになるのか?

最後の解説にもあるように小説にしては盛りすぎ感があるけど、ラノベにしては盛り方が足りない感じで。
読みやすくて面白かったです。

文庫版

単行本

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